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文化財修復

唐門修復情報 彩色工事Vol.2「彩色のための準備【2018年12月~2019年2月 実施】」

彩色のための準備【2018年12月~2019年2月 実施】

取り外した彫刻はクリーニングの後、彩色調査を行います。彩色調査では、彫刻の谷間に残っている顔料の蛍光X線分析を行います。その後、前回(昭和55年)の修復における調査資料と蛍光X線分析※1の結果をもとに復元見取図を作製します。復元見取図は、彫刻の輪郭を墨で描き、本番同様に下地胡粉したじごふんを塗り、水干絵具すいひえのぐ※2を用いて着色します。金箔部分や岩絵具は別の顔料で代用しますが、実際に使用する顔料とほぼ同じものを使用することで、写真に残せない彩色の筆づかいや細かい模様を記録することができ、また彩色作業を行う時に比較をしやすくなります。

復元見取図を作製したら、彩色を掻き落としていきます。

※1 蛍光X線分析:顔料にX線を照射し、各元素特有の波長をもつX線を検出して、どのような元素が含まれてるかを確認する調査方法です。 天然の土、または胡粉や白土を染料で

※2 水干絵具:天然の土、または胡粉や白土を染料で染め付けた微粒子の日本画絵具です。

復元見取図作成の様子

彩色調査の結果、頭貫かしらぬき※3上にある『竹に虎』の彫刻(北東)より、これまで分からなかった当初のものと思われる豹柄の紋様が発見されました。本修復では、その紋様を基に本来の模様を復元いたしました。

※3 頭貫:柱の上部を連結するために柱間をつなぐ横木のことです。

虎と豹

江戸時代の日本には、虎がいなかったため、毛皮や猫をモデルに想像して描かれました。また、豹はメスの虎であると考えられていました。唐門では、オスである虎の彫刻と対になる位置に豹の彫刻が置かれています。

『竹に虎』の彫刻(上:修復前 下:修復後)
※写真提供(川面美術研究所)

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